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2015年5月10日 (日)

「美しい虜」のとりこ

「部長~」「なんだよ」「謎が解けましたよ」「謎って何だよ」「謎は謎だから、なぞなぞ」「忙しいんだよ」「まぁまぁ、聞いてください」「わかったよ」

「先月あたりから、このブログの【検索フレーズランキング】に…」「はぁ」「【マグリット 美しい虜】というのがランクインしているの、気付いてました?」「ぃ、ぃゃ…」「じつは今、東京の国立新美術館で、【マグリット展】が開かれているんです!」

・20世紀美術の巨匠、13年ぶりの大回顧展 「マグリット展」
http://magritte2015.jp/

「知らなかった…」「忙しかった、んでしょ」「もちろん、そうだ」「大変な好評で、日本での人気の高さが改めて認識されます、とのことです」「それは嬉しい」

「そこで、本題です」「はぃ」「マグリットを検索していると、どこかで沌珍館企画の背景表示ウィンドウ【透明マスク】を拾うみたいなんです」「おぉ」「お判りとは思いますが…」「あれこそ、マグリットの【美しい虜】だからね」「そうです」

・背景表示ウィンドウ『透明マスク』 V1.1 (2010/01) UPDATE!
背景が手前のオブジェに描かれるルネ・マグリットの世界をパソコン上で実現
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/personal/se479984.html

・実際のイメージはこちら
http://www.tonchinkan.biz/software/image/toumeimask.png

「既に5年前のものだが…」「はぃ」「最近は3年や5年は何とも思わなくなってきた」「トシですよ」「だろうな」「今日は妙に素直ですね」「いけないか」「いいですけど」

…ということで、『透明マスク』の出荷時にヘルプファイルに書いたことを、若干加筆してご紹介します。

【ルネ・マグリットについて】

ルネ・フランソワ・ギスラン・マグリット (Rene Francois Ghislain Magritte, 1898年11月21日生~1967年8月15日没) は、ベルギーの偉大な画家です。本業は普通の銀行員だったというのには驚かされます。

シュルレアリスムの画家として、普通では現実には有り得ないような絵をたくさん描いています。今の世の中ではインターネットでいくらでも調べられるので、興味のあるかたは検索してみてください。本稿末にもリンクを記載しました。

マグリットの絵には、「奥行きの再配置」「時間の凝縮」「空中浮揚」「異質な同居」「連続変容」など基本的なモチーフが幾つかあります。この『透明マスク』は「奥行きの再配置」をそのまま実現するプログラムです。

マグリットに「美しい虜」(La Belle Captive)という絵がありますが、この『透明マスク』はあの絵のイメージ通りの状態を実現します。著作権の扱いがあるので、ここに表示できなくて残念ですが。

3次元の立体的な現実世界を2次元の平面である絵で表現するには、奥行きという要素を何とか変換しなくてはなりません。西洋遠近法では、「手前のものが一番上」というのが疑いのない重なりの階層です。

(WindowsAPIでは、Zオーダーと言いますが、)この重なりは果たして本当に普遍の真理なのかと考えさせられる絵です。手前にある背景…。遠近法による階層ではなく、心理的に「一番身近なもの」が「何層か向こう側にある」だけのことをどう表現するか。関係有るか無いかも分かりませんが、中国の山水画などは絵の上のほうが遠くで、人物の大きさなどは同じです。

マグリットは、青空と雲をよく描いています。Windows95やWindows98での標準の初期画面は青空と雲でした。たぶん、マイクロソフトにもマグリット・ファンがいたのではないかと密かに思っています。

孤高のロックギタリスト、ジェフ・ベックは、第一期ジェフベック・グループの2作目「ベック・オーラ」で、アルバムジャケットにマグリットの「聴取室」(La Chambre D'ecoute)をフルサイズで使いました。部屋に収まらない巨大な青リンゴは、ジェフ・ベックだけでなく、まだ無名に近かったロッド・スチュアート、ロン・ウッド、ニッキー・ホプキンスらのメンバーを押し上げる力を内に秘めていたようです。この緑色のリンゴは、ビートルズが作ったレコード会社「アップル」のレーベルにもなっています。

個人的に初めて出会ったマグリットは、高校の数学(物理かも)の課題図書だった都筑卓司「4次元の世界」(講談社ブルーバックス)の表紙に使われていた「白紙委任状」(Le Blanc-Seing)でした。純真な高校生はすぐにマグリットが好きになり、そのまま現在に至ります。

しかし、それはまったくの偶然だったわけではないようです。後世のそんな本とはまったく無関係に描かれていた「恋人たち」(Les Amants)という絵は、当時マグリット本人がどこまで意識していたかは分かりませんが、閉じた3次元空間を裏返すという4次元的な感覚や発想がなければ描けないものだと思います。

作品で有名なのは昼と夜の時間を凝縮した「光の帝国」(L'empire des Lumieres)シリーズですが、たくさんある中でも個人的に一番好きなのは「ピレネーの城」(Le Chateau Des Pyrenees)です。

多くの人が同じ事を言っていますが、風の音が聞こえてくる気がします。いつだったか、「自分たちが動かぬ大地だと思っているこの地球だって、宇宙空間に浮かぶピレネーの巨岩だ」というコメントをどこかで読み、足が震えた覚えがあります。

近くの宇都宮美術館には、本物の「大家族」(La Grande Famile)があります。実際に目の当たりにすると、パソコンの画面で見たり、ポスター展で見たりするものとは、やはり存在感がまったく違います。本物はこういう色だったんだ、と感激します。

「大家族」の鳥型の青空と、その周りの暗い空。マグリットはどちらを先に描いて、どちらをその上に描いたでしょうか。本物をよ~く見ればわかります。自分と同じ位置からマグリットがこの絵を描いたという想いに浸れるのは幸せです。

ということで、この背景表示ウィンドウ『透明マスク』を、山高帽のマグリット先生に捧げます。

(2009年11月21日、ルネ・マグリット生誕111周年記念日)

お勧めリンク

・ルネ・マグリット 図録画集にみる作品参照データベース http://artsdb.s140.xrea.com/

・ベルギー観光局ワロン・ブリュッセル マグリット美術館 http://www.belgium-travel.jp/special/magritte.html

・RENE MAGRITTE Museum http://www.magrittemuseum.be/

・マグリット財団 http://www.magritte.be/

・宇都宮美術館 http://u-moa.jp/

 

どうぞよろしくお願いします。

http://www.tonchinkan.biz/

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